ピーター・グリーナウェイの「枕草子」
部屋を掃除していたら、ピーター・グリーナウェイ
の「枕草子」のパンフレットが出てきた。とても印象に残る、魅力的な映画であった。
イギリス人の監督が、日本の古典を題材とし、主役の日本人モデルを中国の女性が演じるといった、グローバルな試みとともに、まるでマルチメディアのモニターを操っているかのような画面が、強く「現在(いま)」を感じさせていた。
グリーナウェイ
の作品は、初期のころの「ZOO」にしても、「コックと泥棒、その妻と愛人」にしても、現実っぽい非現実(あるいは、非現実っぽい現実なのか...)によって、見ているものを困惑させるが、そんな仮想現実をしっかり構築させてしまっているのが、魅力に満ちた画面なんじゃないかと思う。
彼の「画面」は、時代を反映していて、「プロスぺローの本」のころから特に、果てしない画面情報を持つ、マルチメディア的要素が強く出てきていると思う。
そんなことから、表現手段としての映画の、将来的な可能性を、強く感じたおぼえがある。
枕草子 (別記)
まず一番目を引くのが、映像画面の展開力ではないだろうか。これはまさに、マルチメディアをパソコン上で操作しているかのようだ。前回/前々回の作品である「ベイビー・オブ・マコン」や「プロスペローの本」においても試みられていることなのだが、「画面」というものの「枠」を感じない。映像→マルチメディアとしての可能性を感じさせてくれる(本当にマルチメディアで遊んでいるという感じ)。画面としての絶対的な面積が大きい分、テレビ以上に映画の持つ将来性を感じさせてくれる。したがって彼の作品をビデオで見るとするなら、画面の大きさが必要だと思う。
内容的には、情報としての「日本」をあらためて認識させられる。色々な意味で客観的に見た日本らしさとはこういうものなのだろうか.......
各国のスタッフやキャストを混在させることでアーティスティックなコラボレーションとしても映画の可能性を試みている。
製作総指揮
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テリー・グリーンウッド 他
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製作
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キース・カサンダー
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監督
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ピーター・グリーナウェイ
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脚本
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ピーター・グリーナウェイ
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撮影
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サッシャ・ヴィエルニー
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特撮
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ライナー・ヴァン・ブラムレン
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美術
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ウィルバート・ヴァン・ドーフ&アンドレ・プットマン
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衣装
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ワダエミ(美術)
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音楽
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ガース・マーシャル
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その他
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衣装:立野浩二
書・カリグラフィー:ブロディ・ノエンシュヴァンダー/屋良有希(ヤウラ・ユキ)
近未来デザイン:タナカノリユキ
インテリア・コーディネート:アンドレ・プットマン
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編集
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クリーウ・ワイアット
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出演者
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ヴィヴィアン・ウー/緒形拳/ユアン・マクレガー 他
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`96カンヌ国際映画祭正式出品作品
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