◆ニューヨーク近代美術館(MoMA)略歴
1920年代末、リリー・P・ブリス、コーネリアス・J・サリバン、ジョン・D・ロックフェラー・ジュニアの芸術に影響力のある3人のパトロンが、従来の保守的な美術館あり方に疑問を持ち、「ゴッホのように死後、作品が評価されるのでは遅すぎる。同時代の芸術家の活動を応援したい」と、現代美術のために新しい美術館を設立することにした。そして1929
年、アルフレッド・H・バー・ジュニアをディレクターに、世界で最も大規模な現代芸術の美術館が、ニューヨークに創設された。
この美術館は、一般の人たちに熱狂的に迎えられ、10年後の1939
年、規模を拡大して、マンハッタンのミッドタウンに移転する。グッドウィン&ストーンによる設計は、モダニズム建築の特徴を多く備えたもので、ディレクターのバーは、絵画に加え、建築設計、フィルム、写真、彫刻、デッサン、印刷物、絵本をもコレクションの対象とした。
それに続く拡張は、1950〜60年代に建築家フィリップ・ジョンソンにより、鉄骨とガラスによる増築と彫刻の庭が整備され、都市的な外部空間がつくられた。1984年にシーザー・ペリの増築によってギャラリースペースが倍増し、訪問者設備を高めた。そして2004年、谷口吉生によって設計された新館が完成した。
最初は8枚の版画と1枚のドローイングから始まったコレクションも、今では150,000枚の絵画、彫刻、デッサン、印刷物、写真、建築モデル、デッサンの他、世界中の22,000のフィルム、300,000冊の本上の把握、70,000
人以上の芸術家の本、及び定期刊行物、現代的アートの歴史的資料の実物からなっている。こうした幅広いジャンルにスポットを当てていることが、MoMAのコレクションの特徴で、これは設立時のディレクター、アルフレッド・バー・ジュニアの意図したもので、生活の中に潜むあらゆるアートを掘り起こそうとしたものです。
また、企画展示には、時代を先取りするものが多く、1930年代には画期的ともいえる『機械美術展』『写真百年展』『モダン・アーキテクチャー インターナショナル展』『アルヴァ・アアルト展』などの企画展を開催しています。特に、近代デザイン史にとって大きな出来事の一つとして、1932年にフィリップ・ジョンソンがディレクトした『モダン・アーキテクチャー インターナショナル展』は、バウハウスをはじめとする近代建築スタイルが、アメリカで広く認知されるきっかけとなっている。
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